アスカラール
2階のカフェに到着すると、成孔はいなかった。

「ちょっと早かったか…」

美都が呟いた時、
「美都」

ポンと、誰かに肩をたたかれた。

後ろを振り返って確認をすると、
「成孔さん…」

成孔だった。

「俺も今きたところ」

「そうなんですか」

成孔は半袖の黒のシャツに黒のズボンを身に着けていた。

左の手の甲から腕には刺青があった。

(最初に見た時もそうだけど、何がモチーフなんだろう?)

成孔の刺青に美都は心の中で呟いた。

「行こうか?」

声をかけてきた成孔に、
「はい」

美都は首を縦に振って返事をした。

左耳のピアスを確認すると、シルバーのリングのピアスだった。

「美都」

成孔が名前を呼んだかと思ったら、自分の手を差し出してきた。
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