アスカラール
「何か食べたいものはある?」

成孔が聞いてきた。

時間も時間だからお腹が空いている。

美都は周りを見回すと、
「あれがいいです」
と、視界に入ったそれを指差した。

「うん、いいよ」

成孔は首を縦に振ってうなずくと、そちらの方に歩み寄った。

フルーツ飴の屋台だった。

りんご飴にあんず飴、いちご飴にぶどう飴にみかん飴…と、いろいろな種類のフルーツの飴が店先に並んでいた。

ライトに照らされてキラキラと光っているそれは宝石みたいだと、美都は思った。

カバンから財布を取り出そうとした美都に、
「俺が出すよ」

成孔がそう言って、ズボンのポケットから財布を取り出した。

「えっ、でも…」

自分が出すと宣言されて戸惑っている美都に、
「俺がやりたいから」

成孔が言った。
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