アスカラール
鶏の唐揚げを差し出された理由がよくわからなくて、美都は首を傾げた。

「食べないの?」

「えっ、えーっと…」

何故か聞いてきた成孔にどう返事をすればいいのかわからなかった。

「はい、口を開けて」

そう言った成孔に、美都は訳がわからないまま口を開けた。

成孔は美都の口の中に鶏の唐揚げを入れた。

「んんっ…」

噛んだ瞬間、揚げたてなのかパリッとした食感と熱い肉汁が口の中に広がった。

「美味しい?」

そう聞いてきた成孔に、美都はコクコクと首を縦に振ってうなずいた。

「フフッ、かわいいなあ」

美都の反応に成孔は嬉しそうに笑うと、鶏の唐揚げを口に入れた。

(か、かわいいって…私が、ですか!?)

口に出してしまいそうになったが、美都はこらえると鶏の唐揚げを飲み込んだのだった。
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