アスカラール
「美都」

成孔が名前を呼んだ。

「は…」

それに対して返事をしようとしたその瞬間、美都の唇は成孔の唇と重なっていた。

「――ッ…」

一瞬の出来事だった。

成孔の唇が自分の唇から離れたが、美都は自分の身に何が起こったのかよくわからなかった。

(また、キスされたんだよね…?)

固まっている美都に、
「美都がかわいかったから」

成孔が言った。

「――えっ…?」

そのことに対して聞き返したら、
「そんな理由でキスをしたらダメかな?」

成孔はフフッと笑った。

「なっ…!?」

美都は自分の顔が熱くなったのを感じた。

「か、かわいいって…そ、そんなことを言わないでくださいな…!」

美都が戸惑いながら言い返したら、
「何で?」

成孔は理解していないと言った様子で首を傾げた。
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