アスカラール
「美都、ちょっと…」

そう言って沙保は美都の手を引くと、一緒にオフィスから離れた。

「えっ、どうしたの?」

何故だか連れてこられたのは、給湯室だった。

「美都、高崎さんに食事に誘われたの?」

声をひそめて聞いてきた沙保に、
「うん、誘われた…。

と言うか、毎回言われてるんだけど…」

美都は答えた。

「へえ、高崎さんって美都を狙っているのか。

まあ、納得できると言えば納得できるけど」

沙保はうんうんと、首を縦に振ってうなずいた。

「沙保ちゃんも誘われたんじゃないの?

さっき、行かないとかって言ってたじゃない」

そう言った美都に、
「あれは、もしそうなった場合はみたいな感じで言ったのよ」

沙保は言い返した。
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