Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
そんな風に、言いつつもどこか楽しげなオジサン二人に私は結論を出させるべく口を開く。
「それで、私は結局どこの部署への異動になるのですか?」
その私への答えは、ニコニコ顔の人事部長が告げた。
「君は四月一日から秘書課へ異動して、専務取締役付き第二秘書になるんだよ」
………?!
「何かの間違いでは?私は秘書関連の資格は持ってませんが?」
思わず突っ込むと、人事部長は言った。
「専務の秘書の三笠くんね、今年いっぱい育児休暇の代わりに短縮勤務希望でね。彼の所お子さん二人目と三人目で大変だからね。女の子の双子なんだって!それで人事部と専務は考えた末に第二秘書を置くことにした。そこで君なの。仕事早い、三笠くん同様に英語はペラペラ第3外国語はフランス語でしょ?もう、君にお願いするしかなくてね」
その言葉を聞いて納得した。
現在の専務の秘書の三笠さんは旧帝大の外国語学部卒の英語ペラペラの人だ。
海外からのお客様へも社内で通訳をするほどの人。
そのレベルの外国語が出来るのは後は社長や専務。
しかし、役職者にそんな事はそうそうさせられない。
だが、今年いっぱいは家庭が大変な三笠さんに長時間勤務はさせられない。
そうしたあれこれが相まっての今回の人事異動のようだ。
「分かりました、今週中に仕事と引き継ぎを終わらせて準備します」
私の返事に部長達はホッとしつつ、経理部長は少し寂しげに言った。