Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~

本当はウチから出したくないけどね、仕方ない。

専務の所でも君らしく頑張っておいで。


そう言ってくれた。


それからの私は年度末の忙しさと、異動の引き継ぎで連日残業三昧になったが、何とか全てを終えて異動を迎えることが出来た。


経理部最後の日の朝。

経理部長の呼び声に経理部の面々は集まった。


「今日で橋詰さんは経理部最後になります。明日からは総務部秘書課に異動して専務の第二秘書になります。今までご苦労さま。次の場所でも頑張りなさい」

その声に、答え


「入社から五年、たくさんの指導ありがとうございました。お世話になりました」


そうして、最終日年度末その日は定時で仕事を終えて秘書課勤務の沖 沙苗(おき さなえ)と飲みに行った。
忙しい経理部を考えて送別会はナシにしてもらったからだ。


「かんぱーい!」

そうして、グラスを合わせる。


「ふふ、やっと同じ課になれたわ!本当は初めから菜々子は秘書課に来ると思ってたのに、経理部への配属辞令には驚いたんだから」

そう言う沙苗は秘書検定一級のバリバリの秘書課だ。
グループ秘書をしているが、グループ秘書のリーダー格である。


「バリバリの秘書課の沙苗にそう言われるなら、私やってけるかな?」


「当たり前よ!むしろ秘書課としてはもっと早く通訳秘書としてあんたの名前が上がってたのに。人事も経理も出し渋ったから、ようやくよ!」
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