Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~

翌日、よく晴れた土曜日。

桜もそろそろ満開になりそうな3月最後の土曜日。
沙苗は来れなくなってしまったけれど、明後日からの秘書課勤務に備えて新たなスーツを購入すべく私は朝から洗濯掃除を済ませると、都内有数のデパートのある地域に行くべく支度を整えた。

今日はいつもストレートな黒髪をコテで巻いてみた。
桜色のルージュにパールグロスを重ねて、アイラインをブラウンで優しく引くと今日はアイシャドウもベージュ系にピンクを差して明るく春らしくした。
ビューラーであげたまつ毛にはボリュームと長さを出してくれるマスカラを付ける。

今日はメガネじゃなくて、コンタクト。
休日は視界をクリアにしている。

私のオンオフの切り替えはメガネかコンタクトかで分けている。
そう言えば付き合ってた陶野とは仕事帰りが多くメガネばっかりだった気がする。
そりゃ、オフ見せてなくて付き合ってるとは言えないわね。


今更ながらの気づきだけれど、吹っ切れたからこそというか。

彼には私は気を許してなかったのかもしれない。
結果それで良かったけれど。


「ふぅ、しばらく私は仕事に生きるしかないわね。ま、やりがいのある部署への異動だし。心機一転頑張りますか。とりあえずは服よ、服!」


鏡の自分に向かって言うなり、私は準備してた鞄を持ち当初の予定通り買い物へと出かけた。


昨日の沙苗の言葉は隅に追いやられて、すっかり忘れていた。
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