Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
「さて、待ち合わせてたけど沙苗は来ないしサクサクと買い物するかな」
目的地であるデパートに着いた私は早速レディースフロアへ行こうと思っていたら
「こんにちは、橋詰さん。今日は沖さんの代わりに来たよ?沖さんから今日の事、話し聞いてない?」
私の腕を掴んで話しかけてきた相手は、明後日からの私の新たなボスにして、流して忘れた一夜の相手。
清水啓輔、その人だった。
そう、私はあの夜彼がどんな人か知っていて抱かれて、何も言わずに帰ったのだ。
そんな相手とのおよそ二ヶ月ぶりの再会に関して、私はどう返すべきなのか悩みながら、明後日からの事を考えて返事をした。
「こんにちは、清水専務。沖さんからは代わり人が来るとは聞き及んでおりましたが、別に必要無いので遠慮なく御自身の休日をお過ごしくださいませ」
そう、さらりと返せば
「今回の人事、結構俺がゴリ押ししたけれど。それが通ったのも君自身が優秀であるが故だ。けれど、今後はパーティーにも同伴させるにあたりドレスも必要だ、その辺は服選び難しくないか?俺、役に立つよ?」
そう言うと掴んでいた手を腕から見事に恋人繋ぎに変えて歩き出す専務に…
「ドレスは必要になったらで良いですし、スーツくらい選べますから!」
しかし、私の手を取り歩く専務は楽しそうに目的地に向かい、私の発言はスルーされるのだった。