Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
「さてと、次は来週の企業のパーティー用のドレスだね」
サラッと流す様に言ったよ、この人。
「来週どちらのパーティーへ?」
私は思わず聞き返す。
「ん?××株式会社の五十周年パーティーに招待されててね。父が行けないし、兄も兄嫁の出産を控えていてね。代打で俺が出ることになったんだよ」
そうなんて事ない様に言う。
「左様で。それに秘書の同伴は必要あるのでしょうか?」
「いや、パートナー同伴なの。××は外資でしょう?外資系はパートナー同伴だろ?」
確かに、向こうのパーティーは何かとパートナー同伴が当たり前である。
「それで私のドレスが早急に必要なんですね?」
「そういう事。橋詰さんはやっぱり理解が早いね」
クスっと微笑んで言われる。
それだけでフェロモンダダ漏れのイケメンは周囲の視線を釘付けにする。
こんな人のパートナーでパーティーに出るなんて、今から気が重くて仕方ない…。
「因みに来週のいつですか?」
「金曜日の夜。ちゃんと手当はつけるからね?」
そうして、私は有無を言わせない勢いでまたも恋人繋ぎで手を引かれて次はパーティードレスのショップへと連れて行かれるのだった。