Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~

取り急ぎは来週のパーティーのはずなのに…


「専務、なぜ私はこんなにドレスを持たされているんですか?」

「ん?」

小首傾げて、可愛い風も似合うってイケメンは何でもありか!?

「ふぅ…」

荒ぶる精神を落ち着けるため、私は軽く息を吐き出した。

「来週のパーティー用のドレスなら一着でよろしいですよね?何故五着もわたしは持たされているのですか?」

努めて冷静に聞いた。
苛立ちで声が冷たいのは仕方ない…


「あ!来週以降パーティーが詰まっててね!来月五回あるんだよ」

なんてことなく、あっさりと告げるけれども。

「それ、全部専務が出席なさるんですか?」

思わずジト目で隣の背の高い専務を睨み付けてしまう。

「一応その予定。再来週から社長は国内視察で一週間不在だし、遅くても再来週には兄の所に初めての子が産まれるから。兄は産まれたら一週間休み予定なんだよ。お嫁さん命の人だから」

くすくすと笑いながら言う内容は確かに微笑ましいが…

「つまり下手すると再来週は社長も副社長も不在なので専務に色々来るということですね?」

「そうなんだ。普段は兄夫婦が出てくれてたんだが、兄嫁が妊娠してからは俺か両親が代わっているんだ」

なるほど、副社長は奥様を大変大切になさっているようだ。

良いことだな。
大切にされて、その相手と互いに思いあっていられるなんて。
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