Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
「橋詰さんはずっと経理部だったそうじゃないですかぁ?秘書の仕事が出来るんですかぁ?」
語尾が少し間延びしながら聞くのは、鋭い視線を投げた女子社員とはまた別の沙苗と似た感じの見た目可愛い系女子だ。
「私は会社の指示に従い、与えられた仕事をまっとうするのみです。一社員は会社の指示にはさからえないでしょう?」
フッと流す様に見遣り、当たり前のことを当たり前に告げた。
「じゃあ、秘書系の資格もないのに来たんですかぁ?仕事大丈夫ですぅ?」
話し方からしてこの子の方が大丈夫か?と言いたくなる所を三笠さんが遮った。
「三枝さん。それは無用の心配ですね。橋詰さんは優秀なので経理部から俺の補佐に引き抜いたんですよ」
クイッとメガネを上げて告げる三笠さんはニッコリと更に私の情報を付け加えてく。
「橋詰さんは外語大出身で英語が堪能。英会話のレベルは同時通訳が出来るほどですし、第三外国語はフランス語でこちらは留学もしていて会話も出来ます。さらに会計士の資格と簿記一級、秘書検定一級も大学在学中に取得していますよ。こう並べると僕より優秀ですね」
そう、あっさりと述べられたあれこれに秘書課の社員は沈黙した。
「所属が違うし、年度も違うから仕方ないけど。貴方達は知らなかったのね?彼女は私達同期とそれより前から居る社員の間では才女で有名よ?」
沙苗が更に、一言を放ったのだった。