Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
「そんなに褒めても何も出ませんよ?」
そう言言ったところで秘書室の電話が鳴る。
外線通知なので、三笠さんがすかさず出る。
「はい、お電話ありがとうございます。清水コーポレーション秘書室三笠が承ります」
「はい、そちらにつきましては専務に確認を取り次第こちらから折り返させて頂きます」
「はい、ではまた後ほど。ありがとうございます。失礼致します」
そうして電話を切る。
「さぁ、そろそろ始業だね。各自仕事に就いてくれ」
こうして、私の秘書一日目は刺々しくスタートを切った。
まず、ミーティングのあと私は三笠さんと今日の専務の予定を共有。
その後給湯室で専務にコーヒーを入れて専務室に運び、そこで今日の予定を三笠さんが専務へ伝える。
「十五時のマークウィングとの顔合わせ、常務じゃ荷が重いだろ?俺の十五時の予定をずらしてくれるか?」
「はい、かしこまりました」
隅で見ていても分かるがこの二人、仕事の時は集中してるし無駄がない。
効率主義なのが見て取れる。
マークウィングは最近頭角を見せる格安航空会社の一つ。うちも提携を検討中らしい。
何に提携していくのかは、これから詰めていくようだ。
何しろうちはなんでも扱ってると言っても過言ではないからだ。