Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
ついつい人を観察してそんなことを思っていると
「ふふ、本当のこと言われて何も返せないのね?」
どうやら黙っていたらいい様に解釈していく。
この手のタイプの子にありがちよね。
「えぇ、心配には及びませんよ?私は仕事で居るだけのただの一秘書ですから」
ニッコリいい笑顔で言ってやる。
裏を返せば食事中に不快にさせるな、と言う気配を思いっきり込めたがこのお嬢さん図太いらしく効かない。
どうやら空気や雰囲気読めないお嬢さんらしい。
この手はストレートに言わないとダメね…。
このやり取りで察知した沙苗も一言。
「ここで偉そうに小言言うくらいならいい加減仕事を覚えなさい、3年目なのに後輩より仕事出来ないって有名になってるわよ?」
なんともストレートにグサッとやったな。
しかも、可愛らしさを十分熟知してる沙苗ならでは。
小首をかしげつつ更にパンチを打ち込む。
「自分の勤務評価も分からぬ小娘が。先輩への口の利き方も知らないならいい時期だから新人研修からやり直してらっしゃい」
ピシャリと言い放つ言葉にうんうん頷いてるのは、日頃被害を受けてる総務部の面々だろう…。
お疲れ様と顔で言えば、向こうも申し訳ないと手を合わせて頭を下げてきた。
部署内にはまともな人が多いのに、一人突飛なのがいるだけでどれだけの心労か…。
察して余りある…。
私は軽く首を横に振り、気にするなと伝えたのだった。