Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
そうして、完全に言い返せなくなった彼女は顔を赤くして退散した。
食堂内に平和が訪れる。
「なかなか困った子ね…」
「そうね、なかなか手強そうで総務部と庶務課の苦労が伺えるわ…」
そう会話しつつ私たちは食べ終えると、午後の会議準備のため会議室フロアへと移動したのだった。
ちなみに、このイチャモン常務の姪は専務の中では常務と括って人事左遷対象になっていたらしく…
この事件を受けて、GW明け早々に二人まとめて子会社に飛ばされたという。
うちの専務は仕事において、その判断と処理スピードは尊敬に値する。
それをプライベートでも発揮してくるのは、私にとっては厄介以外の何者でもないのだけれど。
こうして、私はどんどんと秘書としての仕事をこなし、半月経つ頃には仕事ぶりから何も言われず。
また、秘書課の人員も刷新された。
これも言わずとしれた専務の仕事。
初日の文句事件と日頃の人事査定により、ゆるい仕事しかしてなかった彼女たちは秘書課から庶務課へ。
その庶務課でテキパキ仕事をこなしていた中堅、ベテラン社員が秘書課に移動してきて職場の空気が良くなった。
皆テキパキと仕事をするので効率もよく、また摩擦も無いので意思疎通がしっかり図れて各々の仕事もやりやすくなった。
実によき職場環境になったのは、専務に感謝である。