Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
「橋詰さん。今週末はお願いなのでプライベートで会ってください。お願いします」
潔く頭を下げて頼んでくる専務…。
うん、この昼休憩真っ只中の社食で言わないで欲しかった!!
気遣いが欲しい、本当に…。
私の意気消沈した顔に、沙苗と三笠さんが同情の眼差しを向けてきた。
「健全に昼間に会うなら構いませんよ?」
そう、口の端ヒクヒクさせながら言えば
「俺がそんなに嫌い?」
視線は上から注がれるのに、その視線はこちらをとても注意深く窺っているのだ。
「人として嫌いではありません。しかしもう少し私の立場とか考えて発言場所は考慮してください!」
そう言い切ると食べ終えたトレーを持ち、私は足早にその場を立ち去るのだった。
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その後の社食に残された三人
「本当に、専務は短絡的ですね!もう少し考えて下さい!」
「専務、女の針の筵は大変なんですよ?もう少し橋詰さんに配慮なさってあげないと。好かれるまでの道は遠そうですね…」
片方は怒り、片方は呆れて言葉を紡がれた。
どれも正確に私の言いたいことを伝えてくれたようで、専務はその日自主反省として自ら進んでコーヒーを入れたのだとか、そんなこんなで、私の周りの混乱はいまだ収まりそうにはありません。