身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「っ、……私だけが、役立たずっ」
「馬鹿を言うな。レーナが役立たずなわけがあるか」
呟きに、答えが返った事にハッとした。
だけど私が振り返るよりも前、私は広い胸に、すっぽりと抱き締められていた。
「レーナはクレイグスの助手の一件では、上手くいかなかったかもしれない。けれどそれが、レーナを語る全てじゃない」
「……ブロードさん」
ブロードさんの大きな手が、トントンと、優しいリズムで背中をさする。
優しい抱擁と囁きに、一層涙が溢れ出た。
けれど今はブロードさんが向ける優しさすら、私には不相応のものに思えた。