身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「私に、優しくなんてしないで。私には、ブロードさんに優しくされる資格なんてないんです! クレイグス先生を紹介させておきながら、泥を塗るような真似をして、っっ!!」

 ブロードさんと距離を取ろうと、必死に腕を突っ張る。

 なのにブロードさんは、私を決して離さない。

「レーナ、向き不向き、得手不得手、誰もに必ずある。転んだなら、立ちあがってまた進めばいい。助手が向かないと思えば、別の道を探せばいい。俺と共に、その道を探して行こう」

 ブロードさんが語る言葉の全てが、私への慈しみと優しさに満ちている。

 だけどそんなふうに優しくされればされるほど、我が身の不甲斐なさが身に沁みる。

「大丈夫だ、焦る必要なんてない。まずはゆっくり日々を過ごしながら、この国の生活習慣や社会常識を身に付ければいい。そうしてやりたい事、してみたい事、そんな興味関心の芽を育てていけばいい」

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