身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「だが、将来は分からんな。レーナはとても優秀だ、困った俺がレーナに助けてもらう事もきっとあるに違いない」
ブロードさんは白い歯を見せて、朗らかに笑う。
私には、そんな未来が訪れるとは思えなかった。
経験や知識だけじゃない。ブロードさんの人としての懐の大きさに、私はきっと永遠に追いつけない。
だけど、追いつきたい。その隣に、いつか並び立つにふさわしい私に、なりたいと思った。
「……ブロードさん、私を保護してくれたのがブロードさんで良かったです」
私の呟きを聞き付けたブロードさんが目を瞠る。
そうして紫の双眸を細め、蕩けるように優しく笑った。
「そうか!」
……神様は意地悪だと、いつも私は恨んでいた。
だけどこの瞬間、私の心に恨みはなかった。もっと前向きな思いで、胸はいっぱいだった。