身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「ところでアボット、妹君は落ち込んだ時、どうやって気分転換をしている?」

 ふと思い立ち、妹を持つアボットに水を向けてみた。

 なにかしらのヒントが得られるかもしれないと思った。

「俺の妹なんて逞しいもんです……」

 ん?
 何故かここでアボットは遠い目をした。

「まず、ニコニコとして俺に近寄ってくるんです。俺は油断して微笑みかける訳ですよ。そうすると、無言のまま俺の腹に渾身の一撃をめり込ませてきます」
「!?」

 耳を疑ってアボットを見るが、アボットはうんうんと頷いている。

 どうやら聞き間違いではないらしい。

「で、妹は悶絶する俺を見て溜飲が下がるようで、ケロっと笑って去っていきます」

 ……完璧な、八つ当たりだ。

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