身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
その日、帰宅した俺を一番に出迎えたのはレーナだった。何故かレーナは俺が買い揃えたドレスとは違う、質素なワンピースを纏っていた。
だから一瞬、レーナを想うあまり、侍女の姿にレーナの幻を重ねてしまったのかと危惧をした。
「おかえりなさいブロードさん」
「ただいまレーナ!」
けれどはにかんだレーナの笑みに、聞こえてくるレーナの声に、これは紛れもない現実のレーナと知る。
しかも嬉しい事に、レーナの表情が少しだけ、明るいように感じた。
「レーナどうだった、患者のところに行ってきたのだろう?」
歩み寄り、その細い肩を抱いて問いかける。
そうすればレーナは小さく身を縮め、その表情を隠すように俯いた。
本当なら、なんとしたって俺が一緒に付き添いをしたかった。けれど仕事に調整をつけようとする俺を、他ならないレーナが引き止めた。
そうして俺の同行に、レーナは絶対に首を縦には振らなかった。
「……罵られました。顔も見たくないと、怒鳴られました」