身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
3
***
……んっ?
気付いた時、私は知らない場所に横たわっていた。一段高い、台座のようなところで、手足を投げ出していた。
「な、に?」
両腕で支え、力の入らぬまま半身を起こす。
見渡す室内は簡素だが天井が高く、整然と長椅子が並ぶ。大振りに取られた窓からは星空が良く見えた。……講堂か、どこか?
周囲は何故か、千々に砕け散った石膏で真っ白になっていた。
頭は霧がかかったように重く、記憶が霞んでいた。ここが何処で、何故ここにいるのか、まるで思い出す事が出来ない。
……私、一体どうしちゃったの? なんでこんな、知らないところにいるの?
涙の滲む目をギュッと瞑った。
胸の内から底知れない恐怖が湧き上がる。気道が狭まり、喉の奥がヒュッと乾いた音を立てた。
「っ、ケホッケホッ!」
呼気を取り込もうと慌て、大きく吸い込んだのが災いした。吸い込んだ空気の粉っぽさに、喉が詰まった。