身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい



***


 ……んっ?

 気付いた時、私は知らない場所に横たわっていた。一段高い、台座のようなところで、手足を投げ出していた。

「な、に?」 

 両腕で支え、力の入らぬまま半身を起こす。

 見渡す室内は簡素だが天井が高く、整然と長椅子が並ぶ。大振りに取られた窓からは星空が良く見えた。……講堂か、どこか?

 周囲は何故か、千々に砕け散った石膏で真っ白になっていた。

 頭は霧がかかったように重く、記憶が霞んでいた。ここが何処で、何故ここにいるのか、まるで思い出す事が出来ない。

 ……私、一体どうしちゃったの? なんでこんな、知らないところにいるの?
 涙の滲む目をギュッと瞑った。

 胸の内から底知れない恐怖が湧き上がる。気道が狭まり、喉の奥がヒュッと乾いた音を立てた。

「っ、ケホッケホッ!」

 呼気を取り込もうと慌て、大きく吸い込んだのが災いした。吸い込んだ空気の粉っぽさに、喉が詰まった。

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