身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「ブロードさん、実は私、少しだけ考え方を改めたんです。この世界で寄る辺ない私が頼りに出来るのは、ブロードさんだけです。だけど一から十まで全てを整えてもらって当たり前とは思わないように、ブロードさんのお客様でいるのはもう卒業します。自立を目標に、出来るところから少しずつ、外の社会を知っていこうと思います」
続くレーナの言葉に、俺は衝撃を受けていた。
レーナの物の考え方は、この世界の一般的な女性のそれからは逸脱している。上流階級になればより顕著に、女は男に養われて当然という考えだ。
けれど俺には、一本筋が通ったレーナの自主性が、凛として美しいと思った。
レーナが俺の与えるままに微笑んで受け入れるなら、それはそれで嬉しいと思う。けれど今、強い瞳で俺を見据えるレーナは眩しく、一層レーナを手にしたくて堪らない思いにさせられる。
「……そうか。レーナの思うようにやってみるといい。もし俺に何か協力できる事があれば、遠慮なく言ってくれ」
「はい」