身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
そう、私はこれまで、とても真面目に過ごしてきた。真面目にコツコツ努力してきて、それを悪いとは思わない。
真面目に安全に、僅かでもレールを外れる事を怖がって、臆病に型に嵌まって生きていた……。
「ユリーナ、そうでもないの! 私、真面目でお行儀のいいばかりじゃないの」
スカートを翻し、私はワンピースのまま庭先の芝生にごろんと仰向けに寝転んだ。
「ね? こんな風にするのに、ドレスは向かないもの」
ユリーナが目を瞠る。
「あ、ははっ! レーナって割かし破天荒なのね!?」
淑女はしない? だけど私には関係ない。
これまでずっと張り詰めていた肩の力が、ふわりと抜けていた。
「だってお日様も、ふかふかの芝も、気持ちいいんだもの」
「! それもそうだ!」
私の隣にユリーナもごろんと寝転がる。私達は顔を見合わせて笑い合った。