身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「ねぇレーナ、この後ってまた、勉強を教えてもらえる?」

「もちろん」

 そのまま芝生に寝転がって、日々思う事、感じる事、私たちはたくさん会話をした。
 そこで話は将来の事にも及んだ。

「あたしさ、あんまり出来は良くないけど、こんなふうにレーナに教わってたら、夢も実現できるような気がしてきたよ」

 どうやらユリーナは、何か目指したいものがあるようだった。

「ユリーナの夢? それは何?」
「うーんと、教えるのは構わないんだけど……。ねぇレーナ、ヘンリーに知れると、あいつきっと気にするから内緒にしてね?」

 ? ヘンリー?
 僅かな間を置いてユリーナの口から出たのは、意外な名前だった。

「? う、うん」

 私が頷くのを見て、ユリーナが口を開いた。

「あたしはお医者の助手になりたい。ヘンリーの母ちゃんってさ、去年足の怪我から全身に毒が回って、病床で苦しんで死んだんだ。何回か足の切断の話も出たんだけど、なかなか踏ん切りがつかない内に手遅れになっちゃったんだ」


< 128 / 263 >

この作品をシェア

pagetop