身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「ねぇレーナ、この後ってまた、勉強を教えてもらえる?」
「もちろん」
そのまま芝生に寝転がって、日々思う事、感じる事、私たちはたくさん会話をした。
そこで話は将来の事にも及んだ。
「あたしさ、あんまり出来は良くないけど、こんなふうにレーナに教わってたら、夢も実現できるような気がしてきたよ」
どうやらユリーナは、何か目指したいものがあるようだった。
「ユリーナの夢? それは何?」
「うーんと、教えるのは構わないんだけど……。ねぇレーナ、ヘンリーに知れると、あいつきっと気にするから内緒にしてね?」
? ヘンリー?
僅かな間を置いてユリーナの口から出たのは、意外な名前だった。
「? う、うん」
私が頷くのを見て、ユリーナが口を開いた。
「あたしはお医者の助手になりたい。ヘンリーの母ちゃんってさ、去年足の怪我から全身に毒が回って、病床で苦しんで死んだんだ。何回か足の切断の話も出たんだけど、なかなか踏ん切りがつかない内に手遅れになっちゃったんだ」