身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
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当日は、いつも通り患者さんのお宅を訪問して、その足でブロードさんと共に教会に向かった。
僅かばかりの緊張や心配は、子供達の笑顔を前に霧散した。
皆が皆、キラキラと目を輝かせ、私が配った自作の学習プリントに噛り付く。私が来た時、興味がなさそうに遠巻きに見ていた子供達も、今は真剣そのものだった。
「……僕、こんなふうに文字を習うのってはじめて」
「あたしだって、はじめてよ」
おおよその年齢別に用意していたプリントはとても好評の様子で、子供達の目は手元のプリントに釘付けだった。
小さな子供達のプリントには、慣れない手で四苦八苦しながら絵を描いた。絵を見ながら単語の練習が出来るようになっている。
「レーナ先生、ここに書いて練習していいの?」
!
衝撃に、思わず固まった。
……私、レーナ先生って、呼ばれた。
「レーナ先生? どうしたの?」
女の子は絵の隣の空欄を指差して、首を傾げていた。
「! う、ううん! なんでもないの、絵の隣の空欄に書き込んでね。後ろがお手本になってるから、分からない時は見ながら書いてね」
「うんっ!!」