身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
ペンを握り締めた女の子は、さっそくプリントに取り掛かった。
子供達の学習に対する意欲はすさまじい。
親や教員に、机に座らされる。ノルマを課せられて熟す。
それらが必ずしも不正解とは思わない。
だけど、学ぶ事の真髄はここにある。
与えられて嫌々にするんじゃない、ここではどの子供達も学びたくて、新しい知識を吸収する事に貪欲だった。
「先生! こっちは? ここの計算はどうすればいいの?」
少し年齢の大きい少年が、私の袖を引いた。
「これって、どうやって解けばいい?」
計算練習用のプリントの二問目で、少年は首を傾げていた。私を見上げる少年の目は、真剣そのものだ。
「うん、これはね……」
子供達に指導する私の胸は、充足感で溢れていた。
どうやらこれまでの私は、目先に捉われるあまり、一番基本的なところを何処かに置き忘れていたようだ。
人生が懸かっていると思った大学受験や国家試験すら、単なる通過点に過ぎない。それらは長い人生のゴールではないのだ。