身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
学ぶ事、新しい知識を身につける事、それらは本来喜びで、切々と耐え忍ぶのならそれはもう、学びの範疇を逸脱してる。
「凄い! あっという間に解けちゃったよ! 先生、これ合ってるだろう?」
ペンを置いた少年が、意気揚々と私にプリントを差し出した。
見下ろしたプリントは、全ての解答欄が埋まっていた。
「どれ、見せて。……ねぇ、勉強は楽しい?」
少年からプリントを受け取りながら、気付けば私はそう問いかけていた。
「楽しいよ! 下の奴らの世話や畑仕事はここで暮らしていくために必要な事だ。勉強はさ、そうじゃないんだ」
少年は嬉々として答えた。少年の輝く瞳を前にすれば、これまでの私がいかに甘えていたかが身に沁みた。
幼稚だった自分自身が恥ずかしかった。
「一見では優先順位は低いけど、勉強は未来への希望を繋げる。計算くらい出来なきゃ話にならないだろう?」
何気なく零された少年の台詞。