身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
5
***
教会からの帰路、レーナが穏やかに夢を語る。
決意を秘めながらも凪いだレーナの瞳は、クレイグスの助手に推薦したあの時とはまるで違っていた。
レーナが子供達に向かい、教鞭をとる。それは背伸びや焦りの一切を排除したレーナに、ピッタリと嵌まる。
等身大のレーナに、なんとよく似合うのだろう。
これまで俺は、レーナに対して少なからず傲りがあったように思う。
庇護してやらなければならない。他でない俺こそが守ってやらねばと、そんな傲慢さが見え隠れしていたのではないだろうか。
そうして俺は、あろうことかレーナに、かつて幼い俺が守る事の出来なかった母を重ねていた。
けれど、今なら分かる。