身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
一見儚げに見えるレーナは、俺の母とはまるで対極だ。レーナは困難に直面しても、凛としなやかに、己の足で立ちあがろうとする。過去の呪縛に嘆き、涙に濡れたまま儚くなった母とは違う……。
レーナの清く澄んだ心根は美しく、尊敬の念すら湧く。
未来への希望にキラキラと瞳を輝かせるレーナが、俺の目に眩い。
『……ブロードさん、これまでの私は、脅迫概念みたいにこういうふうじゃなくちゃって、ずっと気負っていたように思います。……医師は、その筆頭でした。だけど今、私ははじめて自分の意思で未来へ踏み出したいって思うんです。そう思わせてくれたのはブロードさん、貴方です』
微笑みと共に語られた、レーナの心の内。
レーナの言葉に、胸が詰まる。多くの苦渋の上に語られた、重い言葉だ。
そうして語られた最後の言葉は、俺にとってこの上無い栄誉だ。
「レーナなら、きっと素晴らしい教師になる。心から応援する」