身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「……ブロードさん、ありがとうございます。私、頑張ってみます」
花が綻ぶみたいにレーナが笑う。
これまでもレーナは、何かにつけて微笑んで見せた。だけど今、俺ははじめてレーナの本当の笑顔を見た気がした。
屈託のないレーナの笑みが、俺の心をざわつかせる。レーナから目が離せない。レーナ以外の感覚が遠い。
俺の胸の中レーナへの愛が、日増しに大きく育つのを自覚していた。
己の意思に反し、元の世界との縁を断ち切られたレーナ。
ならば俺が、元の世界を憂う間もないほどに、レーナがこの世界で幸多くあれるようしてやりたい。
俺は胸の激情に蓋をして、レーナの額にそっと触れるだけのキスをした。