身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「お嬢さん、落ちていますよ?」

 だけど不可解なその症状は、それ以降も断続的に続いていた。

 ふとした瞬間のブロードさんの言動に、ブロードさんが向ける眼差しに、胸が高鳴る。

 ギュッと胸が締め付けられて、苦しかった。

 この不可解な症状の正体に、私は首を傾げていた。

 これまでに感じたことの無い、ふわふわと浮き立つみたいな感覚。これは一体なんなんだろう……。

 ……そう、こんなふうにふわふわと、……え? ふわふわと??

 !!
 物思いから一気に意識が浮上して、弾かれたように顔を上げる。そうすれば、目の前でふわふわと揺れているのは紗織のストールだった!

 精悍な美貌の紳士が微笑みをたたえ、私のストールを差し出していた。

「す、すみません!」

 すっかり上の空でいた私は、掛けていたストールが床に滑り落ちていたのにも気付ずにいたらしい!


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