身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
え? 私の心の内を知ってか知らずか、男性は読めない笑みで予想だにしない台詞を言った。
「けれど綺麗な目をした貴方を一目見たら、見るだけではいられませんでした。声を掛けずにいられなかった。……けれど髪は、実に惜しい」
髪への言及に、言いようのない恐怖が湧き上がる。
「種を明かせばストールは落ちていたのではありません。隙だらけの貴方から、私が話しかける切欠に取りました」
っ!!
心臓が、バクバクと煩いくらいに鳴っていた。
……どうしよう、走って逃げる!? 役所の職員に助けを求める!?
頭の中、目まぐるしく考えが巡っていた。
「……綺麗という言葉は私じゃなく、貴方にこそ相応しいと思えます」
けれど、考えた末に私が選択したのは、直接男性と対峙する事だった。逃げる事に、意味はないように思えた。
「しかも貴方は綺麗なだけじゃなく、恐らく財や身分だって備えてる。そんな貴方が、ざわざわ私に接触を図ろうとする目的はなんですか?」
駆け出したところで、きっと私は男性から逃げきれない。
「はっ、ははははっ!」