身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
その瞬間、瞼の裏に一片の記憶が映像となって蘇る。目覚める前の、最後の記憶が結ばれた。
そうすれば心地いい微睡みは一瞬で霧散して、押し潰されそうな恐怖が私を支配した。
全身は戦慄き、ガチガチと歯の根が鳴っていた。
「!? どうされました?」
あぁ、そうだ。
……男性が私を混沌に誘う? 馬鹿な事を……、望んだのは他ならない、私!
「女神様?」
メガミ、サマ? ……っっ!!
そう、私が望み、叶えたのは、女神っっ!!
最後の情景が、余さず脳裏に浮かびあがる。
あの時。試験会場を出たあの時、私は宙を仰ぎ、流れ星を見た。
強く大きな流れ星の光。
だけどただ見上げただけじゃない、私は願ったんだ。流れ星の光に、私は願った!
そうしたら、白銀の女神が私に微笑んだ!!
「っっ!!」
「女神様っ!?」
……違う。私は、女神じゃない!!
焦った男性の呼び声を、耳元で聞いたのが最後。私の意識は、ぶわりと広がった記憶の渦に呑み込まれた。
……全ての思考が、真っ白に弾けた。