身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
愛の形



***


 レーナと教会を訪問した二日後。

 その日は視察のため、早朝から屋敷を空けていた。遠方への視察は往復だけでも時間が掛かる。故に屋敷には、日も暮れてからの帰宅となった。

 けれど屋敷を目前にして、俺は僅かな違和感を覚えた。

 ? なんだ、随分と明かりが灯っているな。常ならば既に通いの使用人らは帰宅し、屋敷には夜の静寂が満ちる時分だ。

 俺の出迎えにしたって、屋敷玄関ばかりでなく、玄関ポーチにまで松明の炎が揺らめいている。

 これはもしかすると、何か不測の事態でもあったか?

 違和感を胸に、玄関の扉を開いた。

「ブロード様! おかえりなさいませ!」

 すると俺の帰宅を待ち構えていたように、幾人かの侍女が飛び出した。

「何かあったのか?」


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