身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
愛の形
1
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レーナと教会を訪問した二日後。
その日は視察のため、早朝から屋敷を空けていた。遠方への視察は往復だけでも時間が掛かる。故に屋敷には、日も暮れてからの帰宅となった。
けれど屋敷を目前にして、俺は僅かな違和感を覚えた。
? なんだ、随分と明かりが灯っているな。常ならば既に通いの使用人らは帰宅し、屋敷には夜の静寂が満ちる時分だ。
俺の出迎えにしたって、屋敷玄関ばかりでなく、玄関ポーチにまで松明の炎が揺らめいている。
これはもしかすると、何か不測の事態でもあったか?
違和感を胸に、玄関の扉を開いた。
「ブロード様! おかえりなさいませ!」
すると俺の帰宅を待ち構えていたように、幾人かの侍女が飛び出した。
「何かあったのか?」