身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
これが尋常でない事態である事は否定しようがなかった。
「……役所の周辺で目撃情報はないのか?」
今日のレーナは患者を訪問した後、役所に寄ると言っていた。
「チャールズ様は役所の周辺から捜索を始めておりますが、レーナ様が役所を出て以降の情報が何もあがってこないそうで……」
「そんなはずがない!」
目の前の使用人頭がビクリと肩を跳ねさせた。
「……声を大きくしてすまない」
けれど、大通りで目撃情報のひとつもないというのは余りにおかしい。
俺は爪が食い込む強さで拳を握り締めた。
「ブロード様、お戻りでございましたか!!」
「チャールズ!!」
その時、焦燥しきった様相のチャールズが帰宅した。