身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
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まんじりともせず、迎えた夜明け。昇る朝日をこんなにも忌々しい思いで眺めた事などなかった。
一晩中、王都の端から端をしらみつぶしに捜索した。けれどレーナの手掛かりひとつ掴めぬまま、夜明けを迎えていた。
煌々と、太陽が昇る。昇る太陽を見つめながら、俺の脳裏には、太陽王とも異名を冠するザイード王の姿が浮かんでいた。
俺は眩しい陽光から視線を逸らす事が出来なかった。
「ブロード様、水分くらい摂って下さい。脱水になりますから」
俺の傍らに、いつの間にかアボットがいた。アボットは腰から皮製の水袋を外すと、俺に差し出した。
「……アボット、何故来た?」
レーナの捜索は、アボットの職務にはあたらない。たとえレーナの失踪で軍の王都治安部隊にあてて捜索願いを出したとて、確たる事件の証拠でもない限り、部隊は捜索に動かない。
だからこれは軍部職務とは別の、俺個人としての捜索。