身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「何故って、俺はブロード様の側近です。だからブロード様の必死の捜索を聞き付ければ駆け付けもします。なによりレーナは俺にとっても、とても大切な子です」
「アボット……」

 不思議なくらい、役所を出た後のレーナの目撃情報は上がらなかった。

 役所でレーナが男と話していたというのは、数人から情報を得られていた。けれどその男と役所を出た後のレーナの足跡が、まるっきり掴めなかった。

 ここまで見事に情報が上がってこない。これこそが、何者かが隠蔽を量った証拠。

 ……そうして、それを成し得る存在。

「レーナの事は俺に任せておけ。……だからアボット、付いてくるな。お前は残るんだ」

 レーナの失踪は、ただの失踪ではあり得ない。

 アボットを巻き込む訳にはいかなかった。


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