身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
3
日の出から数刻が経つと、大通りは一気に人の行き交いが多くなる。
俺は多くの人手を割き、丁寧な聞き込みを実施させた。
それを横目に見ながら、俺はもう一度周辺を探り始める。もうじき、レーナが役所に入館したとされる時刻だった。
役所の近辺を捜索していると、ふと、公衆広場の水場で喉を潤す少年が目に飛び込んできた。
「ブロード様?」
少年は浮浪児のようだった。
俺と目が合ったにも拘らず、少年が物を強請りに寄って来る気配はなかった。
少年の様子に、ピンとくるものがあった。
俺は少年に向かって、足を進めた。
「君は昨日もこの辺りにいたのかい?」
浮浪児の子らが食える物を強請りに来るのはままある事だが、それらは往々にして疎ましがられる。