身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい





 日の出から数刻が経つと、大通りは一気に人の行き交いが多くなる。

 俺は多くの人手を割き、丁寧な聞き込みを実施させた。

 それを横目に見ながら、俺はもう一度周辺を探り始める。もうじき、レーナが役所に入館したとされる時刻だった。

 役所の近辺を捜索していると、ふと、公衆広場の水場で喉を潤す少年が目に飛び込んできた。

「ブロード様?」

 少年は浮浪児のようだった。

 俺と目が合ったにも拘らず、少年が物を強請りに寄って来る気配はなかった。

 少年の様子に、ピンとくるものがあった。
 俺は少年に向かって、足を進めた。

「君は昨日もこの辺りにいたのかい?」

 浮浪児の子らが食える物を強請りに来るのはままある事だが、それらは往々にして疎ましがられる。


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