身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 沈む寝台に、擦れるシーツの音に、段々とザイード王が近付いてくるのが分かる。私はますます身を縮め、守るように体を丸めた。

「レーナ、起きているのだろう?」

 !!
 私は答えられぬまま、身を縮めて震えていた。
 耳元に掛かるザイード王の声は優し気なのに、体の芯から恐怖を呼び起こす。

「レーナ?」

 優し気に語り掛けながら、ザイード王が手を差し伸ばす。
 私の頭にポンっとその手がのった時、心臓が鷲掴まれたみたいにキュウッとなった。ひと撫でふた撫でと、大きな手は幾度か往復した。その度に私の震えは大きくなり、恐怖にカチカチと歯の根が鳴った。

「そう怯えずとも星の女神たる其方に誰も無体などしない。……いい加減に顔を上げないか?」

 ギュッと瞑った眦から、涙が滲んだ。
 飲み物に薬を盛られて、意思に反して連れてこられて、この状況でどうやって安心できると言うのか!


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