身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
叫びは、力によって捻じ伏せられた。だけどザイード王に力で抑え込まれれば、その恐怖心に比例するように一層私の心の中、ブロードさんの存在感は膨らむばかりだった。
「私の腕の中で他の男の名を呼ぶなど、其方くらいであろうよ? そうして私がそれをされて許すのも其方だけだ」
抑え込む力を弱めないまま、ザイード王が私を見下ろす。
「だが、面白くはないな。其方は許すが、将軍は許さぬ。星の女神たる其方の存在を隠蔽し、奏上しなかった。これは王家への反逆に値する。反逆者は捕縛をし、罰を与えねばならんな」
ザイード王の言葉が与えた衝撃は、とても言葉では言い表せるものではなかった。
「ザイード王! ブロードさんに隠蔽の意図なんて欠片だってありません!! 動揺する私のために、時間を置いてくれたに過ぎません! ブロードさんは折を見て、伝えるつもりでいたんです!! なにより私は、星の女神じゃないんです! 星の女神に交換を言い渡されて、本物の星の女神は私になって、私の世界に生きています!」
「そのような虚言を重ねてまで、ブロード将軍を庇おうとするか?」
私を見下ろすザイード王の瞳は温度の無い、水晶玉のようだった。
けれど私には形振りを構っている余裕なんて無かった。私は自分からザイード王の腕に縋り、必死に言い募った。
「違います! これが事実です!!」