身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
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広大な王宮内、ザイード王がレーナをどこに置いているか検討もつかなかった。
そもそもレーナについて、ザイード王は王宮内でどのような認知を図ったのだろう。レーナの存在は、王宮内でどの程度共有されている?
一切情報がないこの状況で、何が最善であるか、まるで掴めなかった。
「ブロード様、王宮へは正面から乗り込むんですか? あるいは、秘密裏に?」
王宮の尖塔を視野に捉え、並行するアボットが俺に問いかけた。
アボットのこの問いは俺の逡巡の筆頭で、道中もずっと考えを巡らせていた。
将軍職に就く俺は、軍部の代表として、王宮へも定期的に足を運んでいる。運営報告では毎月、関係大臣らと面会もしていた。
「王宮には、今回も大臣あての面会として登城する」
何が最善かは分からぬが、軍部としての報告を建前として正規ルートで登城し、途中でレーナの捜索に抜けるのが一番無難だと思えた。
「だが、王宮厩舎に馬は預けずにおこう。一応の保険だな」
「ではここいらで、繋ぎましょう」
俺とアボットは王宮を目と鼻の先にして、馬を下りた。