身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「あら、陛下の御考えは必ずしもそうじゃないみたいよ」
「そりゃあ、貴方は王妃様付きだったから、そのまま新しい王妃様付きに持ち上がりになれるんだろうけど……」

 新しい、王妃だと!?

 俺とアボットは使用人を装い、さり気なく行列の最後尾に並ぶ。そうして何食わぬふうを装って、女官達の会話に耳をそば立てる。

「下級使用人の私達には誰付きも何もないわよ。そうじゃないのよ、妃様方を追い出す切欠になった陛下が囲っている少女ってね、黒目をしてるんですって。だけどどうやら、黒いのは目だけじゃないらしいのよ」
「え? なによそれ?」


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