身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
アボットが今まさに解いている包みからは、俺の見間違いでなければ、女物の着衣や小物、化粧道具から鬘までがぞくぞくと飛び出してくる。
「あ、こっちは俺用の変装道具です。医師の二人連れというのは不自然でしょう? ですから俺が助手になります」
やはり! 俺の目がおかしいのではなく、事実アボットは女装に挑もうとしている!
助手とはすなわち、女だ!!
「あ!? もしかしてブロード様が助手の方がよかったですか!? ……いや、でも体形とかを考慮すると絶対俺が助手に変じた方が無難だと思いますよ?」
アボットは俺を見上げ、真剣そのものの様相で頓珍漢な悩みに眉間に皺を寄せていた。
「……いや。そのままの配役で構わん」
女装よりは喜んで老医師の役を演じさせてもらいたい。
「良かった! ブロード様の女装なんて見たくもない」
……俺だって、したくもないが。