身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
アボットはほっと胸を撫で下ろしたように笑った。そうして次の瞬間には、躊躇なく身に付けていた軍服を脱ぎ払った。
そうして手際よく顔から首筋、胸元まで白粉を叩き始めた。
「ブロード様、すいませんが首後ろにも叩いてもらえますか? 塗りムラがあっちゃアレですからね!」
「あ、あぁ」
渡されるまま、刷毛を受け取る。
その後も俺はアボットの指示に従って、事細かに身支度を手伝った。
「アボット、胸囲にこんなに大量の布地を詰め込む意味はあるのか?」
「ありますとも! 胸のサイズこそ女らしさと比例するんですから!!」
アボットが断言し、勢いに圧されて頷きかけた俺であったが、……ここでふと楚々としたレーナの立ち姿が思い浮んだ。俺には慎ましやかな胸元のレーナの方が余程に女らしいと思えた。