身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「それは、もっともですが……いや、しかし」
万が一、上に確認などされてしまえば、計画が全て水の泡だ。
「おい、其方ら、何を揉めている」
!!
背後から掛けられた声に、軋む首を巡らせる。
「父上が手配させた医師であろう? 急ぎ、妃殿の診療にあたらんか」
読めない表情を浮かべて立つのは、その声で予想した通りの人物だった。しかし、続く台詞があまりにも予想外。
何故、この方が俺達を擁護する!?
辛くも計画の頓挫を悟り、次の打開策に思考を巡らせていた俺は、驚愕でもって目の前の人物を見つめた。
「これは! お、王太子殿下! 大変、失礼をいたしました!」
近衛兵は直角に腰を折り、奥殿へ通じる大扉を慌てて開け放つ。