身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「星の女神に袖にされた初代ランドーラ王は、己が手中に出来ぬならと、星の女神に刃を突き立てようとしたんだ」

 告げられた衝撃の事実に、俺とアボットは息を呑んで顔を見合わせた。

「たとえ骸であっても、星の女神を永遠に手元に置けると王は思った。きっとこの時にはもう、王は妄執に心を囚われていた。けれど刃が突き刺さるその瞬間に、星の女神は王の目の前から忽然と消えてしまったそうだ。各地の教会には、星の女神の功績を称えてその姿形を象った石像が数多とある。そのいずれかに宿り、眠りについたというのが当時の有識者らの見識だった。とはいえ、どの教会のどの石像に星の女神の魂が籠っているのかは知れなかった。石像からはその神性を感じ取る事が出来なかったそうだからね」

 ……間違いない。星の女神の魂は、ドリアス牧師の教会の石像に宿っていたのだ。

 砕け散ったあの石像に、星の女神の魂が眠っていた。そうして長き眠りから目覚めた星の女神は、レーナとの入れ替わりを望んだ。


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