身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 王位継承者の未来を見据えた融和の言に、臣下たる俺には、悩む必要すらなかった。

「ザナンド殿下、謹んでその任をお受けいたします。そうして貴方様に生涯、お仕えいたしましょう」

 臣下として、敬愛する王を戴ける事、これ以上の栄誉はない。
 俺は、敬愛するザナンド殿下に、その場で膝を折った。

「……ありがとうブロード将軍」

 ザナンド殿下の呟きは小さく震えていた。

「ザナンド殿下、今一時ご無礼をお許し下さい」

 俺は一声かけると、懲りずにザナンド殿下を抱き締めた。どうしたって、抱き締めずにはいられなかった。

 ザナンド殿下は今度は、俺の手を振り払おうとはしなかった。


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