身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「母の胎にある内から、私には伴侶が定められていた。母と同時期に懐妊中であった宰相夫人の子が異性であれば、そのまま許嫁とする事は元老院らによって決められていた。だから王妃との婚姻に私の意思は介在しない。側妃らも同様だ。政治的判断で娶らされたに過ぎない。私は、望んでいない」

 ザイード王の言葉が胸をざわつかせた。

「レーナは、私が望んだ。最初は星の女神だから、手に入れたいと思った。そうして星の女神の存在を白日の下に晒せば、私は後世までランドーラ王国に名を残す王となれると、そう思っていた」

 ザイード王の熱を孕んだような強い眼差しに、思わず息を呑んだ。

「けれど実際にレーナを手にした今、私はレーナを誰の目にも晒したくないと思う。レーナが私だけに微笑んで、私だけに甘やかに囁くさまを想像する。理屈でなく、私は其方に惹かれてやまない」


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