身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
私がもう少し詳しく聞こうとしたところで、侍女長は自ら口を噤んでしまった。
「……これから私の食事は、ザイード王と同じにして下さい」
結局私は、それだけを告げるにとどめた。
「まぁ、かしこまりました」
その時ふと、窓から差し込む柔らかな陽光に気付く。
既に丸一日以上、太陽の光を浴びていない。
室内に篭りきりの状態は、日がな一日受験勉強に没頭していた予備校時代を思い出す。
ランドーラ王国に来てからこっち、私は日に一回は、必ずこの身に太陽の光を浴びていた。
「あの、中庭に、散歩に出てもいいですか?」
「もちろんでございます。奥殿の中は、自由に過ごしていただいてよろしいのですよ」
人もまた数多ある動植物と同じ、太陽光に今日という日を生きるエネルギーを得るのだと、私はランドーラ王国に来てはじめて気付いた。